投稿日:2006/09/19(Tue) 08:45 No. 78
投稿者:柴田幸範
カオ・バン省と苦茶


しのみどりさんからのご紹介で、熊木秀夫さんの文章をご紹介します。

カオ・バン省と苦茶
-2004年6月にカオ・バン省をはじめて訪ねる-
                 熊木秀夫

(1)ハノイから北に向かってバスで7時間。途中で何回かの休憩と昼食をとりながら、山岳地帯の山道を登ったり、下ったり、工事中の泥んこ道をゆれながら、一方通行の道を相手構わず進行してあとずさりすることもあり、険しい道ゆえに辺りの景色は雄大です。「ちょっとストップ、写真を撮りたい。」といっても運転手には通ぜず。ハノイからカオ・バンに向かう国道が整備されるためには、あと数年かかるだろう、といったのは盲人協会事務局長でした。

(2)人口約60万人。そのうち36の少数民族で50万人を占めると聞きました。あちこちに栄養不足のトウモロコシが目につきましたが、その多くが焼き畑農業のためではないか、と推察しました。道路に沿って電線が延びてはいても、どこの家にも電気が引かれているわけでもなく、またテレビのアンテナも見えない住居もたくさんあります。それとわかる民族衣装は、旅行者の目を引きます。道路の土がはねて泥だらけになった家並みは、日本ならさしづめ町並み保存の声がかかるくらい伝統的な家並みが続くところもありで、雲ばかり見ている飛行機の旅とは違い、まだ目的地につかないうちから「もう1度来たい」と思ったりしました。

(3)いま、この省をはじめベトナムには国際協力事業団(JICA)の援助で100の学校が建てられる計画がすすんでいます。遠くに見える建物がそうかな、と見とれました。しかし、ダナン市郊外の少数民族の学校を訪ねた時にもわかったのは、教科書、教材、教育用具などが少ないことでした。こども達のかばんの中は、ボールペン1本とノートが1冊あるだけでしたが、どのノートもきれいにベトナム語が書かれていたのには感心しました。先生が黒板に書いたものを、その通り書き写していくやり方は、私も戦争中の小学校や敗戦後の中学で体験しましたが、今でも懐かしい思い出です。

(4)カオ・バン省では、二つの盲学校を訪ねました。その一つは省の盲人協会が援助して民家を借りて勉強している中学生くらいの子供たちのクラスで、夏休みで故郷に帰ってきた盲人の大学生の指導で勉強していました。一人当たり10キロの米を持参し、副食費は盲人協会が負担しているのだそうです。そしてみんな寄宿していました。まだ盲人が自宅から通学する条件は、交通安全上からも、経済的な面からもないのです。カオ・バン市内のもう一つの学校では、普通教育の子供たちが夏休みに入ったので、その空き教室を利用して点字の勉強をしているところでした。点字図書館の建設に来ている日本人だ、と紹介されて挨拶を求められましたが、「皆さんのために1冊でも多くの点字の本をつくりたい」とだけしかいえませんでした。

(5)カオ・バン省のパク・ボーは、いま革命の聖地として周辺が整備され、公園、駐車場などの建設がおこなわれています。パク・ボーは1941年に日本軍が侵入してきたのと時を同じくして、ホーチミンが中国国境をこえてベトナムに戻り、べトミン軍を創設したのをはじめ,この洞窟からベトナムの独立闘争を指導していたことはあまりにも有名です。

(6)国境の山岳地帯から流れる水は、きっとマスの養殖にも適しているのではないか、と雨上がりの泥水を飲んでみました。おいしい水でした。もしそれが実現されたらこの地の人々は豊かな生活ができるのではないか、と想像して案内してくれた省の幹部に話しました。

(7)ホーチミンはここで、少数民族の生活習慣を大切にすることをべトミン軍の若い兵士に教えています。そして、その少数民族の中から、今も優秀な青年が輩出していますが、その一人の友人ホアン・ゴック・ボイさんのおかげで、カオ・バンの苦茶を皆さんへ紹介することができることを嬉しく思います。

(8)カオ・バンとは、高い鵬(おおとり)と書きます。この鵬は翼を広げると60里、一気に9万里を飛ぶとされる想像上の鳥です。中国やベトナムにこのような想像上の動物があることは古代の人々のロマンを感じます。この鵬は転じて大事業や優れた者の例え、と辞書にあり、相撲の大鵬もこれにもあやかって四股名に使いました。

(9)このカオ・バンには2000年も前から薬効あらたかな大樹が聳えるように育ち、王様の不老長寿の薬として利用され、今日に至っています。高鵬苦茶(Cao Bang Bitter Tea)の学術名はKaushune.S,Y,Haです。この苦茶には、現在わかっているだけで5つの成分がふくまれています。サポニン(Saponinn Triterpem)は抵抗力、免疫システム、利尿効果、血圧低下、フラポノイド(Flavonoid)はコレストロール、心臓血管疾患の減少、アミノ酸(Amid Acid)には16種類が葉に含まれ、葉の成分の55.92%になる。これらのアミノ酸は代謝機能の活性化に効果的です。多糖類(Polyssacharid)、カロチノイド(Carotenoid)は腫瘍の阻害(腫瘍ができにくい) 等々。現在その他の効果についても研究が進められています。また一般に利用しやすくするためにテー-バックにして販売されています。

(10)私が紹介するのは昔ながらの製法でつくられたもので、出し切ったと思われる茶葉もかなり苦いものです。この苦さを適当に加減して飲むのが良いでしょう。この苦茶がすべての人に同じ効果を生むとは思いませんが、飲みはじめてからそんなに時間がたっていないのに内臓がかるくなって、すっきりしたというか、おなかが鳴るということがなくなりました。このカオ・バンの苦茶は、初めて訪問した同市の盲人協会から寄贈されて病みつきになりました。いつかまた、カオ・バンを訪ねて本物の木や製造過程を見学したいと思っています。

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